iDeCoとは?初心者にもわかる「自分で育てる年金」【2026年版・掛金上限の改正情報つき】
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、毎月自分で掛金を出し、自分で運用して、老後資金を育てる私的年金の制度です。掛金が全額所得控除になる、運用益が非課税になる、受け取るときにも税優遇があるという「3つの税メリット」と、原則60歳まで引き出せないという注意点、職業ごとに異なる掛金上限、そして2026年12月に予定されている掛金上限の引き上げまで、数式を使わず表と具体例でやさしく整理しました。制度の内容は厚生労働省・国民年金基金連合会の公表資料にもとづいています。
iDeCoとは?初心者にもわかる「自分で育てる年金」【2026年版・掛金上限の改正情報つき】
ひとことで言うと
iDeCo(イデコ)とは、「毎月自分でお金を積み立て、自分で運用先を選んで、老後資金を育てる制度」 です。
正式には「個人型確定拠出年金」といいます。会社や国が用意してくれる年金とはちがい、掛金を出すのも、何で運用するかを選ぶのも、すべて自分自身という点が特徴です。「iDeCo」という愛称は、英語の individual-type Defined Contribution pension plan の頭文字などから名づけられました。
iDeCoには3つの税メリットがあります
iDeCoがよく「節税になる制度」と紹介されるのは、次の3つの場面で税金が優遇されるからです。
| 場面 | 優遇の内容 |
|---|---|
| ① 掛金を出すとき | 掛金の全額が所得控除の対象になる |
| ② 運用しているとき | 運用で得た利益に税金がかからない(通常は20.315%課税) |
| ③ 受け取るとき | 「退職所得控除」または「公的年金等控除」の対象になる |
① 掛金が全額、所得控除になる
たとえば、毎月2万円(年間24万円)をiDeCoに積み立てたとします。この24万円は、その年の所得から差し引くことができ、所得税・住民税の負担が軽くなります。
| 掛金を出さない場合 | iDeCoで年24万円積み立てた場合 | |
|---|---|---|
| 課税される所得 | そのまま | 24万円分が控除される |
| 税負担 | 変わらず | 軽くなる |
軽くなる金額は、その方の所得水準(税率)によって変わります。税率が高い方ほど、軽減効果が大きくなるという性質があります。
② 運用益が非課税になる
通常、投資信託などを運用して利益が出ると、その利益に20.315%の税金がかかります。ところがiDeCoの口座内で得た運用益には、この税金がかかりません。 これはNISA(少額投資非課税制度)と共通する仕組みです。
③ 受け取るときも税優遇がある
積み立てたお金を受け取るときも、そのまま全額に課税されるわけではありません。 一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として分割で受け取る場合は「公的年金等控除」という控除の対象になり、税負担が軽くなるよう設計されています。
いちばん大事な注意点:原則60歳まで引き出せません
ここまで良い話が続きましたので、いちばん大事な注意点をお伝えします。
iDeCoで積み立てたお金は、原則として60歳になるまで引き出すことができません。 途中で急にお金が必要になっても、「やっぱり返してほしい」ということは、原則としてできない制度です。
| 制度 | 途中で引き出せるか |
|---|---|
| iDeCo | 原則できない(60歳まで) |
| NISA | いつでもできる |
これは、iDeCoが「老後資金づくり」に特化した制度だからこその設計です。生活費の予備や、数年以内に使う予定のあるお金をiDeCoに回すのは向きません。 家計の中で「当分使う予定のないお金」だけを充てるのが基本の考え方です。
掛金には職業ごとに上限があります
iDeCoの掛金には、加入している年金制度によって異なる上限額が設けられています。主な目安は次のとおりです。
| 加入区分 | 月額の上限(目安) |
|---|---|
| 自営業者・フリーランスなど(第1号被保険者) | 68,000円 |
| 会社員(企業年金なし) | 23,000円 |
| 会社員(企業型DCのみ加入) | 20,000円 |
| 会社員(確定給付企業年金などに加入) | 20,000円 |
| 公務員 | 20,000円 |
| 専業主婦・主夫(第3号被保険者) | 23,000円 |
※ 2024年12月の制度改正後の上限です。会社員・公務員の方は、勤務先の企業年金制度によって金額が変わるため、正確な上限は勤務先や国民年金基金連合会にご確認ください。
2026年の話題:掛金上限がさらに引き上げられます
2026年12月に、iDeCoの制度改正が予定されています。実際の掛金への反映は、2026年12月拠出分(2027年1月引き落とし分)からとなる見込みです。
| 加入区分 | 現行の月額上限 | 改正後の月額上限(予定) |
|---|---|---|
| 自営業者など | 68,000円 | 75,000円 |
| 会社員(企業年金なし) | 23,000円 | 62,000円 |
| 会社員(企業年金に加入) | 20,000円 | 企業年金と合算で62,000円まで |
あわせて、これまで設けられていた「iDeCo単体での上限」という考え方がなくなり、企業年金との合計額で上限を管理する仕組みに変わる見込みです。専業主婦・主夫の上限(23,000円)は、この改正では変更されません。
制度の詳細や実施時期は、今後の法令・政省令の内容によって変わる可能性があります。 掛金の見直しを検討される際は、必ず国民年金基金連合会や運営管理機関(金融機関)の最新の案内をご確認ください。
iDeCoとNISA、何がちがう?
初心者の方が混同しやすい2つの制度を、表で並べておきます。
| iDeCo | NISA | |
|---|---|---|
| 目的 | 老後資金づくりに特化 | 幅広い資産形成 |
| 掛金の所得控除 | あり | なし |
| 運用益 | 非課税 | 非課税 |
| 引き出し | 原則60歳まで不可 | いつでも可能 |
| 主な対象 | 老後まで動かさないお金 | いつでも使う可能性があるお金 |
「税優遇の強さ」ではiDeCoに軍配が上がる場面が多い一方、「自由に引き出せない」という制約もあります。 どちらか一方を選ぶ必要はなく、目的に応じて併用している方も少なくありません。
よくある質問
Q. iDeCoは何歳から始められますか?
A. 国民年金の被保険者であれば、20歳から加入できます(学生や収入のない方など、一部条件があります)。加入できる年齢の上限は、加入区分によって異なります。
Q. 運用商品は自分で選ぶのですか?
A. はい。iDeCoでは、元本確保型の商品(定期預金など)と、元本変動型の商品(投資信託など)の中から、ご自身で組み合わせを選びます。運用の成果によって、将来受け取る金額が変わります。この記事は制度のしくみを説明するものであり、特定の運用商品をおすすめするものではありません。
Q. 手数料はかかりますか?
A. 口座の開設時や毎月の運用管理に、一定の手数料がかかります。金融機関によって金額が異なるため、口座を選ぶ際の比較ポイントの一つになります。
Q. 転職や退職をしたらどうなりますか?
A. 転職・退職後も、届出をすることでiDeCoの加入を続けられる場合が多くあります。ただし、加入区分の変更にともなって掛金の上限が変わることがあるため、転職・退職の際は忘れずに手続きを確認しましょう。
IRDBで会社を調べるには
iDeCoの運用商品には、上場株式に投資する投資信託が含まれることもあります。「投資信託が投資している会社について、もう少し知りたい」——そんなときは、IRDBの企業データが参考になります。
この記事のまとめ
- iDeCoは自分で掛金を出し、自分で運用先を選ぶ私的年金の制度
- 税メリットは3つ:掛金が全額所得控除、運用益が非課税、受取時にも控除がある
- ただし原則60歳まで引き出せないという大きな制約がある
- 掛金の上限は職業(加入区分)ごとに異なり、自営業者は月68,000円、会社員・公務員は月20,000〜23,000円が目安
- 2026年12月には制度改正が予定され、自営業者は月75,000円、企業年金のない会社員は月62,000円まで引き上げの見込み
- 改正の詳細・実施時期は今後変わる可能性があるため、最新情報の確認が必要
制度の内容は厚生労働省・国民年金基金連合会の公表資料にもとづいています。実際の加入や掛金の設定の前には、最新の公式情報を必ずご確認ください。
次に読むとよい記事
- NISAとは? — 引き出しがいつでもできる非課税制度との比較に
- ROE(自己資本利益率)とは? — 投資信託が投資する会社を見る第一歩
- 自己資本比率とは? — 会社の「財布の厚み」を見る
- PER(株価収益率)とは? — 株を見るときの基本の物差し
- 証券会社を比べてみる — iDeCoの口座を開く先を選ぶときの比較の観点
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